クレジットカード不審請求プロセス(加盟店側)についての覚書

前提

- 現在Stripeを利用しているので、Stripeで実際に行われている手続きや各種ドキュメントをもとにしている。

- ただStripeの事業範囲としてはクレジットそのものではなくオンラインの決済代行であるので、不審請求そのものについても大きな責任を持つものではないと思われる(情報のやりとりや表示の正確性とかだけかな)。

- また、不審請求のプロセスはクレジットカード業界全体の慣行としてるものをそのまま踏襲しているだけと思われるので、Stripe固有のものではない。

- 取り扱っている商品はデジタルコンテンツです。申立て理由としては「身に覚えのない請求」が多いので、内容もそれ寄りになっています。

- 調査中のこともあるので間違ってることもあるかもです。

 

不審請求とは

既に成立した特定のクレジットカード決済について、その支払いをするカード保有者が、利用した覚えがないこと等を理由にその取り消しを申し立てること。申立てが認められた場合、カード保有者に返金がされる。その場合、加盟店側はその返金額について負担するとともに不審請求の費用(一律1500円?金額によっても差があるかも)についても負担する。

 

不審請求のプロセスとは

不審請求はカード保有者の申立てがあればすぐに認められるものではなく、一定のプロセスを経てその申立てが正当なものか検証される。

https://stripe.com/docs/disputes/categories#dispute-categories

取り扱っている商品や申して立て理由などによっても異なるが、ここ取り上げたい点としては以下のとおり。

- 審査はカード会社が行い、申立ての是非の判断もカード会社が行う。

- カード保有者の申立て内容についておおまかなカテゴリーについては加盟店に伝えられるが、申立ての中で実際にどのような主張がされたかについては明らかにされない。

- 加盟店は審査のために1度だけ自己の主張を裏付けるための反証資料を提出することができる。一般的にどのような資料を提出すればよいのかについては例示されている。

- どのような理由で申立てが正当なものとして認められ、あるいは不当なものとして認められなかったのか、については一切明らかにされない。反証資料がどのように参考にされたかについても特に何も説明はされない。

 

加盟店側から見ると

- 審査プロセスの前後で情報が開示されないので、どのような反証資料を用意すればよいか今ひとつわからない。一般的な例は例示されているものの、これを提出すればOKというわけでもないので、審査結果を参考にしつつ反証資料の提出の方法なども改善していきたいところなのだが。

- ユーザー(カード保有者)がサービスから退会してしまう可能性があるが、その際にできるだけ関連データは残しておきたくない反面、不審請求のためにどこまで残すのかというのを検討しないといけない。

- クレジットカード会社信用できない。一般的にということではなく、不審請求のプロセスにおいてはカード会社が申立てを認める方向にインセンティブが働く(返金すればユーザーは満足するし、その費用は加盟店が負担する)ので、申立てを正当なものとして認めがちなのでは。審査をカード会社だけが行い、そのプロセスが一切明らかにされないのもそれを助長している。

- 審査に対応するコストや対応した結果として加盟店側に有利に解決される期待値を考えると、「何もしない」のが合理的な選択となってしまいそう。それって制度設計としてどうなの。

 

カード会社の立場に立ってみる

- 不審請求を一件一件詳細に調査したり、何度も関係者間でやり取りしていたらすごいコストになるよ。そしたら手数料も高くなるよ。

- 3Dセキュア認証もあるよ(これは窃取カード利用とか限定になるかな)。

 

それについて言いたいこと

- わからないでもないけど、簡易な決済手段を提供することでカード会社も恩恵を受けているはず。申立て理由の詳細や審査内容を情報公開するだけ(そしてそれはそんなに難しいことではないように思われる)でもずいぶん違うので、制度設計を見直してもよいのでは。

- 3Dセキュア認証使ってるところあるのかな。ごくごく一般的なWebサービス事業者としては購入フローはできるだけ簡易にしたいところ。

 

それでどうしよう

- 高額商品については3Dセキュア認証やるというのはありうるかも。

- それ以外は反証資料だしたり対応するけど結果は期待しない。

 

補足:「身に覚えのない請求」について

- カード窃取等による第三者による不正利用の場合、全面的に加盟店側の責任となる。

- 単にカード利用者が覚えていないだけなのか、あるいは不正利用なのか、あるいはカード利用者のabuseなのかをどのように判断しているのかは不明。

- ちなみにカード明細に商品名を記載することはできない、、、(なぜこんな簡単そうなことができないのか)